スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

らくだ工房「幸せのタネ」

シモキタで芝居を見てきた。
こうやって、友達が出てくれているから、小劇場の芝居を見に行くこともできるのだ。
星の数ほどある小劇場公演からどれかを選んで行くなんて、私みたいな無精者にはムリである。
らくだ工房という劇団は全く知らなくて、今回初めて。
友人は客演である。

老人ホームの職員宅を舞台にして、
職員夫妻と、夫の妹、妻の兄で売れないマジシャン等がそれぞれ胸に暗いものを持って出たり入ったりする。
タイトルの「幸せのタネ」は種のことでもあり、マジックのタネ(暴露されてはいけない裏側)でもあるのだ。

マジシャンとそのアシスタントの噛み合わない会話とか、狂言回しのような編み物教師のオカマがおかしくて笑っているうちに話は進んで行き、いくつかの事件が起きる。
だが、事件のほとんどは当事者によって語られることがない。
既に起きていて、話題に上る事柄についても、明確な説明はなされない。
会話は行われるが、セリフと印象が食い違っていたりする。
状況から観客には何事かが了解され、いくつかのことは曖昧なまましまい込まれる。

人はたくさんの言葉をかわすが、なかなか本当のことを言わないのかもしれない。
言っているつもりでも、本当に伝えたいことは言葉になっていないのかもしれない。

ホーム職員の妹は耳が聞こえず、言葉を発しないのだが、
引きこもってしまった彼女が時折発するメッセージはよくわかる。
言葉でないものを探して受け取ろうとするから?

パンフレットには、
「人生には思わずありったけの消しゴムを食べてしまいたくなるような出来事が起こるものです。ふとした言葉や仕草の裏には必ず感情の波が揺れているのだと思うのです」
という脚本家の言葉があった。



スポンサーサイト

クリーブランド美術館展

六本木ヒルズで開催中の「クリーブランド美術館展」を見てきた。
大して関心はなかったが、友達がタダ券をもらってきたのでご相伴にあずかったのだ。

結論から言うと、なかなか良い作品が多く、お薦め。
ポスターに選ぶ絵を間違えたのではと思ってしまう。
女性の肖像は半分ぐらいだし。
最終入場が夜7時半なのも便利。
ただ、館内の雰囲気はイマイチ。作品だけに集中すべし。
下の入口から52階のギャラリーへ案内されるまでの間に、何度も入場料が高いことを思い出させられることも覚悟すべし。

週中の仕事帰りに寄った。
すいていた。
日本でこんなにすいてる美術館に入ったことがないぐらい。
外国旅行中に美術館へ行くときは、ゆっくり見たいと思っていても、どうしても時間が気になってどこかに焦りがあり、心を鎮めて作品に入ることができないことが多い。
だから、こんなにゆったりできたのは本当に久しぶりだ。
じっくり見るということがどんなに大切で効果的かを改めて感じた。
ひと目で好きと思った作品も、最初はどうでもいいかなと思った作品も、近づいたり離れたりしていると、いろいろなものが見えてくる。
画家だって時間をかけて、(たぶん)ためつすがめつしながら描いたのだ。

一通り見た後、友達が寄ってきて「本日のお持ち帰りはどれ?」
私のイチバンはモディリアニの女性像。
オレンジからブラウンの艶やかな色がものすごく美しい。
2番はモネの初期作品で、モネ夫人がドアの外を歩いて行く絵
彼女は2年後に32歳で亡くなり、モネは生涯、その絵を手元に置いたそうだ。
友人の方の"お持ち帰り"は、ジャック=ジョセフ・ティソの「7月、肖像画の見本」
明るい窓辺のソファに、繊細な装飾のドレスを着たご婦人がくつろいでいる。
印象派の時代らしい(違ったりして)、軽やかで気持ちの良い絵だった。
「こんな風に描けますよって、プロモーションしたのね、面白い」
そういう興味ですかぁ?
確かに、そう言われると、肖像画家が生計を立てるために絵を売り込んで歩く様子が(勝手な映像で)目に浮かぶ。
この絵を眺めては19世紀のヨーロッパの街を思い描くのも楽しいかもしれない。



続きを読む

犠牲の精神

アガサ・クリスティの「娘は娘」を読んだ。

結婚を巡ってお互いの人生を狂わせてしまう母娘の話。
ミステリ作品ではなく、殺人は起こらないし、もちろんホラーでもなく、読みやすい小説なのに、おそろしーいお話でもあるのだ。

「誰かのために犠牲を払ったと思っている人は、無意識のうちに相手に高い代償を払わせようとしてしまう」
というテーマなのだが、怖いのは「無意識に」であること。
わかっていれば、思い直してやめることもできる。
でも、自分が何をしているかに気づかないでいたら。
日常の中にいっぱいありそうで怖い怖い。

もうひとつ読んでいて重たいのが、この小説で起こる状況の解決が現実にはとても難しいであろうこと。
主人公のアンは早くに夫を亡くし、古いメイドと二人で育ててきた娘が19歳になったとき、友人を介して知り合った男と結婚を決意するが、彼と娘がどうしてもうまく行かず、間に挟まれたアンは疲弊してしまう。
男は「娘が家を出ればいい」と言い、娘は「私を追い出すなんて、お母様、そんなことおっしゃらないわね?」と泣きつくのだ。
娘と恋人とどちらを取るのかと迫られた母親はどうすれば良いのか。
どちらも失ってしまうことだってありそうだ。両方ともかけがえのない存在であっても。


クリスティにはこの手の小説(当初別名義で発表されたミステリでない作品)がいくつかあるが、どれもミステリ作家らしい洞察に満ちていて、ミス・マープルもポアロもトミー&タペンスもここから生まれたのねと納得させられる。
もしかして殺人事件抜きでも十分に面白い作品がたくさん書けたんじゃないですかね。

sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitleリンクsidetitle
sidetitleブロとも申請フォームsidetitle

この人とブロともになる

sidetitleQRコードsidetitle
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。